自動車総連はメーカー、車体・部品、販売、輸送、一般業種で働く78万6千人の仲間が広く集結した産業別労働組合組織です。当稿では、「産業界での労使協議の取り組み」をテーマに取り上げます。
労働人口の減少や少子高齢化など、仕事を取り巻く環境は大きく変わっています。将来予測が困難で、過去の成功体験が通用しない時代になってきています。労働組合と企業が適切な緊張関係を保ちつつ、テーマによっては互いの特性や長所、情報を連携させ、共通の目的に向かって課題を解決するために協働する必要があると考えています。
自動車産業は現在、「電動化」「自動化」「コネクテッド化」という大きな変化に直面しています。これは100年に一度の大変革期とも言われ、約100年前の米国での馬から自動車への移行に匹敵する変化です。製品も製造方法も変わる一方で、人手は慢性的に不足しています。人手を確保するためには賃上げが必要ですが、その原資が不足しています。部品企業や中小企業に資金が行き渡らない要因として、適正取引、特に価格転嫁が挙げられます。
私たちは、企業の取引関係では伝わりにくい受注者の困りごとを単組を通じて把握し、それを発注者の単組を通じて企業へ届ける活動を開始しました。私たちで把握しきれないティア(階層)の深い企業については、JAM(ものづくり産業労働組合)に協力頂いています。
カウンターパートである日本自動車部品工業会は2022年10月、受注者だけでなく発注者としても取引の適正化に取り組む姿勢を示し、様々な活動を強化しました。この三者で年に2度の労使会議を開き、その準備段階で事務方での意見交換と連携を強化しています。経営者団体として取り組むには立場上難しいが必要なことを私たちが補完し、逆に私たちにとって困難なことを経営者団体が担うというコミュニケーションができてきました。
とはいえまだ始まったばかり。産業を元気にすることを目指し、引き続き取り組んでいきます。
(「ネットワーク全労生」生産性新聞2024年7月25日号掲載)