運輸労連は、トラック運輸を中心に、さまざまな輸送分野の労働組合 347組合、組合員約107,000人が結集しており、トラック運輸産業では最大の産業別組合です。1968年11月、前身となる「全国運輸労働組合協議会」(全国運輸)と「全国トラック運輸労働組合連合会」(全ト労連)が統合して運輸労連が結成されました。
トラック運輸産業は、国民生活や経済を支える重要な産業ですが、1990年の規制緩和に起因する過当競争により、労働関係法令や事業法に違反する事業者が横行し、全産業と比較して長時間労働の割に低い賃金水準という業界実態となっています。その結果、業界における若年層の入職が減少し、従業者の高齢化と深刻な労働力不足に直面しています。運輸労連は、こうした状況を改善すべく、トラックドライバーの働き方改革(労働時間規制の強化等)を進め、労働条件の向上による労働力確保と雇用の安定を実現するとともに、トラック運輸産業の秩序の回復と公正な競争条件の確立、社会的地位の向上に向けて、行政や業界団体等と連携し取り組んでいます。
労使協議の取り組みとしては、トラック運輸産業の業界団体である全日本トラック協会と、運輸労連本部が年1回、産業政策を中心とした要請書の提出と意見交換を行っています。また、トラック関係の労働団体と国土交通省、全日本トラック協会が一堂に会する物流政策懇談会を年1回開催しています。テーマは、その時直面している課題、トラックドライバーの働き方改革や賃金労働条件の改善に向けた価格転嫁などであり、都道府県の地方組織においても同様の要請行動等を実施しています。その他にも、中央・地方で加盟組合対応企業との労使懇談会を積極的に行なっています。
深刻化する労働者不足の是正に向けた賃金・労働条件の改善とその原資となる適正運賃・料金の確保(価格転嫁)は労使の共通課題であり、2018年にはその実現に向けた貨物自動車運送事業法等の改正に全日本トラック協会と労使協調して取り組み、改正法案を成立させることができました。また、本年6月には、労働者の適切な処遇の確保や国土交通大臣が定める「適正原価」を下回る運賃及び料金の制限などが盛り込まれた貨物自動車運送事業法等の改正法案が労使協調により成立させることができました。しかし、ようやくスタート地点に立ったところであり、今後は、法の実効性を高めるべく引き続き労使協議を進めて行く所存です。
(「ネットワーク全労生」生産性新聞2025年6月25日号掲載)