産別紹介⑨ 情報労連:信頼と共感を得る「社会価値ある労働運動」を推進(情報労連 運動推進局局長・小田嶋亮)

 情報労連は、情報通信・情報サービス産業、通信建設業を中心とした産別で、NTT労組、KDDI労組、ソフトバンク労組をはじめ、約230組合、19万人の組合員で構成しています。1991年には、「複合産別」として、印刷・運輸・ 製造・建築・ビルメンテナンス・医療・福祉などの労働組合も加盟しています。

 前身となる電通共闘が結成されてから63年が経過し、この間、国民のための電気通信事業を守り、健全な事業や社会の発展をめざすとして運動を展開してきました。この間、「自分たちの利益だけではなく、すべての人が幸せになれる社会があってこそ、組合員が安心して働き暮らせる」との考え方のもと、社会の不条理に対峙し、働く仲間の権利や団結権等を守る闘い、そして、平和・人権など社会正義や健全な民主主義を追求するとともに、信頼と共感を得る「社会的価値ある労働運動」を推進してきました。この視座は、時代が変わっても変わるものではなく、次代につなぐ情報労連運動の不変の理念となっています。

 情報労連は、労働運動を取り巻く環境や時代の変化を踏まえ、政策の基本的なスタンスを明確にするため、「情報労連21世紀デザイン」を策定し、「自立・自律」と「協力・協働」によって実現する「暮らしやすい社会」の実現に向け、取り組みを展開しており、組合員が地域人の立場で地域に入り、社会貢献を果たしていくことの重要性を掲げています。

 たとえば、活動の根底には、「平和なくして労働運動なし」という強い信念のもと、「創り育てる平和」をシンボルフレーズに掲げ、一人ひとりの行動を通じて平和を実現することを目的に、長年にわたり平和運動に取り組んできました。

 また、東日本大震災や、熊本地震や能登半島地震等の自然災害からの復興・再生に取り組んできており、情報労連独自で復旧・復興ボランティア活動を実施するなど、「社会的価値ある労働運動」に取り組んでいます。

 春闘では、賃金改善や非正規労働者の処遇改善、労働時間の適正化および勤務間インターバル制度の導入などに取り組み、25春闘においては、「つながらない権利」をはじめ働き方に関する要求等を行なってきました。暮らしやすい社会の実現に向けては、安定的な集団的労使関係を拡大するとともに、多様な働く仲間との連帯のもと、働く者の社会的地位の向上を図っていくことが重要であり、組織拡大を通じて、働く仲間の輪を広げ、産別労組としての責務を果たし、働く仲間の生活と仕事の安心・安全を追求しています。

(「ネットワーク全労生」生産性新聞2025年5月25日号掲載)

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