産別紹介⑭ JR連合:JR産業の大転換期に、集団的労使関係の重要性を訴える(JR連合 事務局長・今井孝治)

 また、中小労組の賃金を底上げするためには、価格転嫁を含む公正な取引慣行の実現が不可欠となります。フード連合では、2003年よりUAゼンセンと連携し、取引慣行に関する実態調査を毎年行い、その結果

 JR連合(日本鉄道労働組合連合会)は、JR7社、JRグループ会社、及び関係会社等で働く約8万6千人(2025年7月現在)が加入する、JR産業を代表する産業別労働組合です。紆余曲折を経て1992年に発足した私たちは、幾多の困難を乗り越え、すべてのJRグループで働く労働者の社会的・経済的地位の向上のために、安全の確立、組織強化・拡大、各政策実現等に取り組んできました。結果として現在、JR産業における責任産別としての地位を確固たるものにしてきたと自負しています。

 一方で、少子高齢化と人口減少をはじめ、JR産業を取り巻く環境は急速かつ大きく変化しており、複雑に絡み合った課題を解決していかなければなりません。国鉄は37年10ヵ月でその幕を閉じましたが、JRはすでにその期間を超えていることも踏まえると、国鉄改革に並ぶ大転換期の渦中にあると言えます。具体的には、JR北海道・JR四国・JR貨物の経営自立、地方路線・地方創生、高速鉄道・新幹線ネットワークの推進など産業政策面の課題、あるいは労働力人口の減少に伴う人手不足への対応、賃金をはじめとする労働条件向上への取り組み、働く者のライフスタイル・価値観の変化への対応など労働政策面の課題が山積しています。

 こうしたJR産業の政策的な課題の解決にも増して、私たちは「JR連合ビジョン」を掲げ、グループ労組の組織強化・拡大に精力的に取り組んでいます。全労生「60周年宣言」にある生産性三原則の深化を踏まえれば、グループ各社にも労使の協力と協議の拡がりと内容の充実を図っていかなければなりません。なぜなら、グループ会社なくしてJRの安全も高品質なサービスも成立し得ないからです。

 現在、労働政策審議会労働条件分科会において、法改正に向けた様々な議論がなされていますが、特に「職場における過半数代表制の適正な運用」については、JR産業における労使関係の実例等を踏まえれば、選出手続きの厳格化だけで適切な労使コミュニケーションが担保される訳ではありません。“中核的役割の担い手は労働組合”という位置づけを明確化し、労働組合の結成や充実を促すような法改正となるよう広く世の中に訴えかけ、組織拡大にもつなげていきます。 以上のような取り組みを通じて、組合員・家族の幸せ実現とJR産業の持続的な発展に向けて、民主的かつ健全で、建設的な労働運動に邁進していきます。

(「ネットワーク全労生」生産性新聞2025年10月25日号掲載)

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