産別紹介⑬ フード連合:付加価値が評価される取引の実現を(フード連合 事務局長・千葉淳一)

 日本の食品産業は、中小企業および零細企業が大半を占めるほか、地域で生産された農林水産物の最大の仕向先であるなどの特徴を有しており、雇用や地域経済の安定に重要な役割を果たす存在となっています。私たち日本食品関連産業労働組合総連合会(略称:フード連合)は、そのような食品関連産業の労働者で組織する産業別労働組合であり、食品労連、全食品同盟、全たばこの3組織統一による食品連合の結成、その後の食品労協、甘味労協との合同を経て現在に至っています。2025年7月現在では、約270組織・約12万1千人の組合員が加盟しており、全国に4ブロック・41地区協議会を設置して組織運営を行っています。

 フード連合では、生産性三原則を基盤としながら、綱領に掲げる5つの目的である①「食品関連労働者の総結集」、②「組織力の向上・連帯の強化」、③「総合的な生活改善、雇用・労働環境の整備」、④「産業政策の確立・実現」、⑤「ジェンダー平等をはじめとした多様性推進、及び社会性をもった労働運動の実現」を重点課題として設定し、その実現に向けた運動を展開しています。

 とりわけ、労働力人口の減少を背景とする人手不足が深刻化する中、他産業と比較し相対的に低位にある食品関連産業で働く労働者の労働諸条件を引き上げていくことは、産業の持続性にかかわる重要な課題であり、労使が生産性向上に向けて協力し合い、その成果の公正な分配を求める生産性三原則の実践が極めて重要であると考えております。

 また、中小労組の賃金を底上げするためには、価格転嫁を含む公正な取引慣行の実現が不可欠となります。フード連合では、2003年よりUAゼンセンと連携し、取引慣行に関する実態調査を毎年行い、その結果を踏まえた必要な法改正、政策等の検討につなげるよう、公正取引委員会はじめとした関係省庁へ要請を行っています。食品が生産者から消費者に届くまでの各段階、いわゆるフードバリューチェーン全体として生み出した付加価値が公正・適正な価格として評価される取引の実現をめざし、食品関連産業の発展に向け政労使の協力の下で引き続き取り組みを進めていきます。

(「ネットワーク全労生」生産性新聞2025年10月5日号掲載)

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