これまでのノルムを変え、新たな進化を遂げる年に(全労生 議長・神保政史)

 昨年11月に全労生議長に就任しました電機連合の神保です。皆さんとともに生産性運動を推進してまいりますので、よろしくお願いします。

 はじめに、2024年元日の能登半島地震ならびに9月の豪雨によりお亡くなりになられた方々に、謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

 さて、2025年春季交渉がいよいよ本格的にスタートします。今年は極めて重要な位置づけとなります。

 わたしたち労働組合は2014年より賃金水準の改善に継続的に取り組み、一貫して生活の維持・向上と、人への投資による経済好循環、さらにはデフレからの脱却を主張してまいりました。一昨年頃から賃上げの重要性・必要性が広く認識されるようになり、社会的にも賃上げの機運が高まる中、昨年は5.1%の賃金改善を実現することができました。しかしながら、いまだ実質賃金はマイナスから抜け出せず、かつ、諸外国と比較して日本の賃金は依然として低い水準に留まっています。

 2025年春季交渉においては、これまで築き上げてきた「賃上げの必要性」や「その重要性」をさらに強め、「賃金や物価は上がらない」というノルムを払拭し、全体への波及と継続的な賃上げを定着させていくことが求められます。

 そのためには、価格転嫁や適正取引を進めるとともに、誰もが能力を最大限に発揮できる環境を整備し、生産性の向上を図り、公正かつ適正な配分へとつなげていかなくてはなりません。また、労使が現状と課題を共有し、その解決に向けて真摯に協議を進めることが不可欠です。そのためには生産性運動三原則である「雇用の維持・拡大」「労使の協力と協議」「成果の公正な分配」を徹底していく必要があります。

 今年は巳年です。「巳」は、冬眠していた蛇が地表に現れる様子を象徴し、新たな始まりや進化、因習的な生活からの脱却を意味するそうです。これまでのノルムを変え、新たな進化を遂げる年にしていきたいと思います。引き続きご協力を賜りますよう、よろしくお願いします。

(「ネットワーク全労生」生産性新聞2025年1月25日号掲載)

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