JP労組(日本郵政グループ労働組合)は、日本郵政グループ各社で働く組合員で構成する単一労働組合です。2007年に郵政事業(日本郵政公社)が民営分社化されたのと同時期に結成されました。
グループ内には異業種企業(郵便・物流業、銀行業、生命保険業等)が属しており、現在の組合員数は約22万人、男女比はおよそ7対3です。民営分社化によって、日本郵政公社で働いていた組合員は帰属する会社が分かれてしまいましたが、同じグループで働く者として労働組合は単一の組織形態を保っており、日本郵政グループの一体性を保持する一助ともなっています。
一方で、民営分社化から約17年、グループ各社が民間会社としてそれぞれの業界で他社と肩を並べ競争してきた中で、そこで働く組合員の意識やニーズも各社横並びではなくなってきています。そのため、JP労組では昨年から組織内に会社・事業ごとの体制(ユニット)を構築し、会社・事業別の特性や現場実態等に応じた組合活動等に取り組んでいます。
現在、私たちは「JP労組が描く将来ビジョン」という取り組みを行っています。これは、政府や企業による雇用システムの変革を検討する動きや、同一労働同一賃金の実現などをふまえて、必要に迫られてから対症療法的な対応をとるのではなく、先んじて組合員の議論によってあるべき姿を描き、新たに作り直そう、という取り組みです。具体的には、組合員が「日本郵政グループで働くことによって思い描く人生設計が実現できる」と思えるような「働き方」、「事業のあり方」、「それらと整合的かつ補完的な人事諸制度」を総合的に検討・議論し、その実現をめざしていくものです。
さらに、日本郵政グループは人的依存度が高い業態であり、成り行きに任せていれば、人口減少による働き手の不足により縮小均衡していくことにもなりかねません。そうなれば、郵便局ネットワークの維持が困難になり、組合員の働く場所が減少してしまいます。「将来ビジョン」では会社の持続性確保はもとより、組合員の生活を守る原資を生み出すためにも、一人ひとりの生産性を高める効率的な業務運行や新たな事業展開などを検討・議論すると同時に、それによって自身の働き方が変わることにも挑戦していこうとしています。
将来ビジョンの実現は今後の労使協議によるところもありますが、主体的・能動的に取り組みを進めていきます。
(「ネットワーク全労生」生産性新聞2024年12月15日号掲載)