私が生産性運動を明確に意識したのは2000年の『生産性の船』が最初でした。当時単組では非専従役員として比較的真面目に活動をしていたところ、『生産性の船』への参加を打診され豪華客船に乗って香港やシンガポールに行けると聞いて、無邪気に喜んで参加しました。管理者や中堅の職制のリーダーと労働組合コースがありましたが、労働組合コース約50人中女性参加者は一人でした。
流通の現場は女性が多い職場ですので、違和感を持ちました。洋上研修は非日常空間、確かに豪華客船ではありましたが、日中は真面目に議論、夜は飲んで議論、議論尽くめの研修に船酔いも重なって本当につらくて、初日から『早く帰りたい』と参加したことを心の底から後悔しました。さらに労働組合コースを代表して全体発表の場で報告することとなり、押し付けられ感満載の悔しさとプレッシャーで涙に暮れていた私を励ましてくださったのが、生産性本部の澤田潤一特別参与であり、職制コースで参加され同部屋だった女性の先輩でした。
特殊な環境でプレッシャーは尋常ではありませんでしたが、『生産性向上への取り組みとは何か』という問いに対して、みんなで真剣に議論し、先輩たちに励まされ、香港やシンガポールで見た完全にシステム化された物流の現場や先進企業から学び自分なりの答えを得ることができ、本当に貴重な経験となりました。
その後組合専従役員となり、経営コンサルタント養成講座にも派遣していただき、また今回全労生の役割を頂戴し大変光栄なことと思っています。労働組合の立場で長年、生産性向上に向けて経営ともかんかんがくがく議論を重ね様々な取り組みを行ってきましたが、今改めて思うことは、『生産性を向上させる』ということの本質は人間の無限の可能性であり、知恵と工夫によって革新を生むということである、つまり一人ひとりが学び仲間と共に新たな可能性に向けて変革への挑戦をし続けるということに他ならないと思っています。皆様と共に今後も生産性運動に邁進していきたいと思います。
(「ネットワーク全労生」生産性新聞2023年11月15日号掲載)