AI時代も主役は人(全労生 副議長・成田幸隆)

 まずは、1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」により、お亡くなりになった皆様のご冥福をお祈りするとともに、家屋損壊や怪我などの被害を受けられた皆様に対しても、お見舞いを申し上げます。

 例年、年始に開催する挨拶会などでは、私の役割として主催者代表の挨拶がある。年末に何を話そうか悩んでいたが、話題のチャットGPTで作成してみると、ほんの数秒で無難な挨拶文が出来上がった。AI生成技術の進化に驚く一方で、従来の働き方や生産性向上に大きな影響を与えることを実感した。

 これを機に、技術革新をふまえた「生産性運動三原則」との関係性を考えてみた。

 現在、物流業界では物流DXの流れとして、行政、メーカーなどの協力を得ながら、自動運転やドローン配送、倉庫内の自動化・機械化に取り組んでおり、ドライバー不足や高齢化、長時間労働是正などの課題解消につながることが期待されている。その反面、「雇用の維持・拡大」の点では将来的に人の仕事が機械や技術に取って替わられるのではないかと、表裏一体にある関係性を危惧する。

 ただ、われわれの考え方も少しずつ変化を加えていくことも肝要だ。現在、物流以外でも革新的な技術が至る所でとてつもないスピードで、社会に「大きな変化」をもたらしているが、この変化は誰にも止められないし、社会や産業の発展をふまえると無理に止めるものでもない。一つ言えるのは、この先、如何に技術が進歩しても、人が主役であり、人にしかできない仕事もある。大事なことは進化する技術にあらがうのではなく、技術を活用して共存していくことにある。

 また、企業がより発展していくには、労使双方が旧態依然の思考や手法にとらわれず、変化を恐れないで、柔軟に対応できる「しなやかさ」と「揺るぎない強さ」を持った「労使の協力と協議」が必要となってくるのではないだろうか。

 年始早々、そのようなことを考えながら、被災地の皆様に一刻も早く平穏な日々が戻ることを祈念するとともに、今年一年が干支の「登り竜」の恩恵を受け、日本経済が盛り上がり、労働者にも企業活動の「成果の公正な分配」が成されることを祈念している。余談だが、本原稿は、決してAI生成によるものではないことを補足しておきます。本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

(「ネットワーク全労生」生産性新聞2024年2月15日号掲載)

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