昨年以上の賃上げ目指す(全労生 議長・松浦昭彦)

 本年1月1日に発災した能登半島地震でお亡くなりになられた方々のご冥福を祈り、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。

 2024年、連合は春季生活闘争の要求を「賃金引上げ3%(総額5%)以上」とし、昨年以上の賃上げを目指すこととしました。政府や与野党、経営者団体も昨年以上の賃上げが必要との前向きな姿勢を示しています。個々の企業労使では、昨年の妥結時点で「2年連続の賃上げは期待しないで欲しい」との経営側の姿勢も散見されていましたので、そうした「空気」を払拭する私たちの努力は一定程度効果を発揮できたのではないか、と思います。

 今私たちが取り組んでいる賃上げの目標は、物価上昇への対応という事だけではなく、「長年停滞してきた日本の賃金を、再び浮上させていく」ことにあります。日本は先進国の中で最も物価と賃金の安い国の一つとなってしまっています。物価が安いということは、私たち労働者の提供するモノやサービスが低く評価されている、ということに他なりません。他のコストや生産条件を同一とした場合、物価が安い国では労働生産性は低くなり、賃金を低く抑えざるを得ません。こうした状況を脱し、緩やかな物価上昇とこれを上回る賃金改善の好循環が生まれる経済を作り出していく必要があります。そのためには、より高く、より広がりをもった賃上げを実現しなければなりません。

 また、労働力人口減少により人材不足が構造化している日本にあって、これから数年・数十年継続的に賃金を引き上げていくためには、その裏付けとなる生産性の向上が必要不可欠です。

 規模の大小を問わず、デジタルツールの更なる活用やビジネスモデルの見直しなど、企業体質の強化について私たちは企業の対応を促し、生産性運動三原則の考え方に基づいて労使協議に臨まなくてはなりません。

 こうした課題意識を持ち、本年も活動を進めて参ります。今後とも全労生の活動にご理解・ご協力をよろしくお願いします。

(「ネットワーク全労生」生産性新聞2024年2月5日号掲載)

掲載紙PDF